エンタープライズ システムのベスト プラクティス (英語): ホワイト ペーパー

このホワイト ペーパーは、「最前線の現場から」コレクションの一部です。 エンタープライズ システム (Microsoft Project Server など) の運用上のベスト プラクティスについて大まかに説明します。 エンタープライズ システムは、ユーザー レベルの使いやすいインターフェイスを提供することを目指していますが、このホワイト ペーパーでは、それを提供するために必要なテクノロジとインフラストラクチャがどのくらい複雑になるかについて言及しています。 また、この複雑さに対応するために、エンタープライズ システムにおいて高レベルな信頼性を維持するための最善の方法を提供する基本的なベスト プラクティスをどのように使用するかを説明します。

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エンタープライズ システムのベスト プラクティス

私は、エンタープライズ タイムシート システムやエンタープライズ プロジェクト管理システムについて多く執筆していますが、このようなシステムの導入の最も一般的なフェーズは、選択または構成フェーズであり、ここでは、戦略的視点について話を進めていきます。 この記事では、主に運用面のプラクティスについて取り上げ、Microsoft Project Server などのエンタープライズ タイムシート システムやエンタープライズ プロジェクト システムについては、個別には見ていきません。 扱う題材は、確かにほぼすべての Project Server 導入に関するものになりますが、ここでは、エンタープライズ システムの概要にとどめておきます。

すでに導入済みの Project Server システムがある場合や、既存の顧客と話す機会がある場合は、組織がシステムとその環境をどのように導入し、サポートしているかについて、質問することがよくあります。 この業界に入ったときは、インストールするプロジェクト ソフトウェアは常にエンド ユーザーの PC 上で稼働しており、システムの管理は常にローカルの概念だったため、相談の内容は簡単なものでしたが、 現在では、このようなケースはまれです。 エンタープライズ システムは、インターフェイスや表示レベルではシンプルなものであり、エンド ユーザーは、一般的に Web ブラウザーから他の Web ページにあるような機能にアクセスできます。 このようなシステムは、フロント エンドの部分はシンプルですが、バック エンドの部分は複雑です。 このようなインターフェイスの表示に必要なテクノロジは、テクノロジやインフラストラクチャの複数のソースに応じて、多くのレイヤーで構成される場合があり、それで不十分な場合は、常時更新されている可能性があります。

しかし、エンタープライズ システムで高度な信頼性を最大限に維持するための基本的なベスト プラクティスがいくつかあります。

オーナーを見つける

成功しているエンタープライズ システムには、ビジネス オーナーと技術オーナーの両方のオーナーがいるため、実際には、このような 2 人のオーナーに分けて考える必要があります。 オーナーを同じにすることもできますが、これは、ビジネス オーナーが IT 部門のエグゼクティブであり、エンタープライズ システムが主に IT 部門用である場合のみです。 では、この 2 人のオーナーについて見ていきましょう。

ビジネス オーナーを見つける

ビジネス オーナーは、プロジェクト管理システムの成果について強い関心を持つ、エグゼクティブ レベルまたは上級管理職レベルであり、 システムで実現する利点と解決する課題が、これらのエグゼクティブに直接影響する利点と課題になります。 そして、いうまでもなく、一般的に委員会や複数の人物になることはありません。

責任の所在を明確にする必要があり、それはほとんどの場合、1 人の人物になります。 責任者は、システム導入のエグゼクティブ後援者になることもありますが、 エグゼクティブ後援者がエンタープライズ システムの最終的なビジネス オーナーになることはあまりありません。

導入プロジェクトの終了後であっても、ビジネス オーナーは、まだシステムのオーナーですが、そのビジネス オーナーがシステムを必要としなくなった場合は、別のビジネス オーナーを見つけてシステムにコミットするか、システムを終了させる必要があります。

技術オーナーを見つける

エンタープライズ レベルのシステムの場合は、技術者を手配するだけでは不十分です。 前述のように、エンタープライズ システムは、テクノロジの多くのレイヤーによって決まるため、 技術オーナーは、他のテクノロジのレイヤーのオーナーとすぐにやり取りできる、IT 部門のシニア マネージャーやエグゼクティブである必要があります。 技術オーナーは、SQL Server データベース、SQL Server がインストールされたデータベース サーバー、Project Server がインストールされたアプリケーション サーバー、ネットワーク、Web サーバーまたはサーバー ファーム、インターネット接続、ファイアウォール、Active Directory、Exchange サーバー、セキュリティ サーバーまたはシステム、クライアント レベルのオペレーティング システム イメージのシニア オーナーなどがあります。 シニア オーナーは、このようなエンタープライズ システムを環境の他の側面の管理者に提供できるようにする必要があります。

目的を明確に

Project Server には、a) 目的があり、b) その目的を果たしていることが必要ですが、 自明のことのように聞こえるでしょうか。 そうではないと思います。 エンタープライズ システムは、間違った理由で導入されることが多く、システムの利用目的を探すのは IT の担当者の責任になっていることもよくあります。 他の者が関与する場合もありますが、エンタープライズ システムのビジネス目的を承認する人は、ビジネス オーナーである必要があります。 私は、このようなエグゼクティブに対して、これまで何年も使ってきた次のような質問をいつもするようにしています「ビジネス判断の中で、今すぐ判断を下せないものや、判断を下すのが非常に難しいものは何ですか。また、そのようなビジネス判断は、このシステムを導入することで可能になりますか」ビジネス要件 (必要な機能のことではありません) を策定したら、エンタープライズ システムがその要件を実際に満たすかを確認してください。 私は、これまで多くの人に会ってきましたが、その中には、機能を一覧にまとめてみたが、それらの機能を実現するために何をしようとしているのかをほとんど理解していない人も多くいました。

組織が発展するにつれて、ビジネス オーナーは、この基本概念に立ち返る必要があります。 Project Server などのエンタープライズ システムを導入すると、導入対象のビジネスが根本的に変わる場合があるため、組織のシステム要件が変化しても驚くべきことではありません。

Project Server が採用され、導入されたが、組織にとってそれがなぜ重要なのかをだれも理解していないため、数年間は組織の中に入ることがよくあります。 システムは確かに利用され、 問題なく稼動していますが、目的が失われており、そのシステムの恩恵を日々受けているエグゼクティブは、その恩恵がどこから来ているのかを理解していません。

エンタープライズ アーキテクチャを理解する

数年前のことですが、私は技術スタッフの 1 人と一緒に、混乱している顧客のところへ向かっていました。 彼ら自身でインストールした Project Server のインスタンスがトラブルに見舞われていたためです。 本人がそこにいたので、技術担当者に話を聞き、システムのレイヤーを追跡して原因を探ってみました。 データベース レイヤーを確認したら、愕然としました。 彼らがシステムをインストールした SQL Server のバージョンが、組織の標準のデータベース サーバーの 1 つではなく、エンド ユーザーの PC 上にあったのです。 PC に何かをインストールして再起動または電源を切るたびに、データベースが利用できなくなり、 文字どおり、何百人ものエンド ユーザーに影響がありました。

幸い、大規模な組織であったため、利用できるエンタープライズ サーバーやインフラストラクチャは十分にありました。 このケースでは、問題は簡単に修復できましたが、 これはよい教訓になったでしょう。 導入しているシステムは、安定性や信頼性、安全性を高めるために、組織が膨大な労力を費やしてきた企業の既存のインフラストラクチャに組み込まれているでしょうか。

バックアップ

わかりきったことで 今さらと思うかもしれませんが、 驚くべきことに、バックアップが適切にできているとは残念ながらいえません。 エンタープライズ システムでは、システムのさまざまな側面を同時にバックアップする必要があり、そのような側面に依存するため、バックアップが複雑になることがよく知られています。 基本的なデータがあるのは当然のことですが、実装のメタデータや構成データなどもあり、 補助システムからの関連データをシステムと一致させる必要がある場合は、これらのデータを同じバックアップ スキームに組み込むことも必要になります。 Project Server に関しては、プロジェクト データベースだけでなく、SharePoint Server データベースのバックアップも考慮する必要があります。 2010 以前のバージョンの Project Server では、グローバル テンプレートのバックアップが必要になることがあり、 現在でも、各 PC 上のテンプレートの要素がある場合もあります。

当然、バックアップだけでは不十分です。 システムの変更やアップグレード時には、少なくとも 1 回はデータベースのリストアを実行してください。 数年前のことですが、ある顧客からバックアップ戦略の相談を受けていたときのことです。 彼は、サーバーをシャットダウンし、ハード ディスクを引き抜いて、別のハード ディスクを挿入してから、こちらを見て次のように言ったのです。「 ハード ディスクが壊れたので、 新しくフォーマットしたハード ディスクと交換しました。 Project Server をリストアしてください」私はかなり驚きましたが、さらに驚いたことは、依頼の内容は適切なものですが、よくよく考えれば、このような依頼は初めてだったことです。 このようなこともあるので、少なくとも 1 回はリストア テストを実行するようにしてください。 システムはリストアできましたが、想定した状態には正常に戻らなかったため、バックアップ手順の更新が必要でした。

ステージング/実稼働

「この世は舞台、男も女もみな役者だ」これはシェークスピアの一説ですが、 この場合の舞台とは、ステージングのことであり、エンタープライズ システムによって重要なものになります。 システムが実稼働すると、新しい構成やカスタマイズ、新しいレポートやリンク、フィールドなどの変更を試したくなります。 更新やアップグレードがある場合は、実稼働環境でユーザーに影響が出ないように、ステージング環境や開発環境で最初にすべて試す必要があります。 ブラウザーの更新やデータベースの更新などの基本的な要素は、エンタープライズ システムに影響があるため、実稼働環境から分離されたステージング環境を用意しておく必要があります。 現在は仮想サーバーの時代であり、以前よりも簡単になっています。 環境全体を実稼働システムから複製できることが多くなりましたが、導入内容によっては、口で言うほど簡単ではありません。 サーバー全体をコピーしたとしても、さまざまな技術的難題に直面する場合もあることを覚えておいてください。

監視

エンタープライズ システムの監視には、見過ごしがちな多くのポイントがあります。 何よりも重要なことは、エンド ユーザーが Project Server を利用できることを確認することであり、使用できなくなった場合に、担当の技術スタッフに迅速に通知できるようにすることも必要です。 幸いなことに、システムの機能と可用性を維持し、エンド ユーザーが問題に気付かない場合でも、技術スタッフに自動的に通知できるようにするツールが数多く販売されています。 しかし、監視には、他にも重要な側面があります。 アプリケーションが使用しているメモリの容量や CPU の容量などのアプリケーションの状態、システム自身でエラーから回復した場合でも、システムによってレポートされた可能性のあるエラー、必要なサーバーの再起動、技術インフラストラクチャのその他の要素に関連する状態などを監視し、記録することも重要です。 たとえば、IIS に技術的な問題が発生した場合に、エンタープライズ アプリケーションの可用性を維持することが非常に重要になることもあります。

小さな変更でも変更には変わりない

Project Server の基盤となる技術は、日々変化しており、 このような変化をすべて避けて通ることはできません。 Windows Server オペレーティング システムでは、数日おきに更新が配信されることが頻繁にあり、SQL Server でも数週間おきに更新が配信されることがあります。 個々の Windows クライアント オペレーティング システム、ウイルス スキャナー、ファイアウォール、Internet Explorer やアドオンでも、更新が定期的に配信されます。 エンド ユーザーとのデータ チェーンのどの部分もアプリケーションが停止する原因となる可能性があるため、テクノロジ スタック全体で変更を管理するための構造を構築するようにしてください。

さまざまなエンタープライズ アプリケーションが、同じようなスタックの側面に依存することもあるため、このことが問題になる場合もあります。 以前、ある顧客が Project Server の更新を正しく行わなかったことがあり、SharePoint Server 環境全体が停止しましたが、 Project Server や SharePoint Server の更新の適用方法に明らかに間違いがありました。 完全なバクアップがあったため、データは失われませんでしたが、すぐにロールバックできるようにアップグレード プロセスが準備されていなかったため、多大な影響があり、復旧まで数日を要しました。

また、別の組織では、本来更新するものとは別のエンタープライズ アプリケーションを更新してしまい、全ユーザーがブラウザーのバージョンの更新を余儀なくされたことがありました。その結果、社内ですでに使用中の他のエンタープライズ アプリケーションが、更新した最新バージョンのブラウザーをサポートできなくなるという事態になり、 いわゆる板挟みのような状態になりました。 結局、このエンタープライズ システムのアップグレードをロールバックし、すべてのエンタープライズ アプリケーションで新しいブラウザーにアップグレードされるまで、待たなければなりませんでした。

統合されているより、統合されていると見える方がよい場合もある

販売デモで見られる光景ですが、データを簡単に移行できるなど、 複数のツールの統合は簡単であることが常に実演されています。 Project Server などの柔軟性に優れたツールと、財務/ERP などの他のエンタープライズ システムとの間のリンクを確立することは簡単ではないため、リンクを確立する前に、両方のシステムを実稼働で安定させることを常に推奨しています。 リンクが確立しても、そのリンクが適切に機能し続けることができるように、2 つのシステムの変更を監視することが非常に重要になります。

いずれかのシステムがアップグレードされると、データや構造の変更、さまざまな技術的要件が発生する可能性があります。 新しい機能や利点が追加される場合もありますが、実稼働に移行する前に、既存のリンク機能をステージング環境で必ずテストしてください。

文書化

Project Server の選定と導入に携わった人が、同じ仕事をずっと担当することはありません。 実際、仕事で成果を出せば、組織から次のエンタープライズ システムの導入を新たに任されるでしょう。 このため、構成の決定事項、予測される利点や運用面での予想、これらの決定に使用された要因などを文書化することが不可欠になります。 将来、別の担当者がこのシステムを見て、頭を抱えながら「この担当者は何を考えていたのか」と悩むことのないように、確実に申し送りできるようにしてください。

エンタープライズ システムのドキュメントは、アップグレード、ビジネス オーナーや技術オーナーの変更、運用構造やビジネス要件の大きな変更があるたびに更新される "生き物" のようなものです。

慎重に

これは、底の見えない湖 (未知の世界) に初めて飛び込もうとする人へのアドバイスです。 浅瀬でしょうか。 それとも、水面の下に岩があるでしょうか。 Project Server などのエンタープライズ プロジェクト管理システムでは、複雑なデータ要素を集約し、データに基づいた効率的な判断と、それによる組織の差別化を可能にしています。 しかし、必要なことは、そのような効果をすぐに無駄にしてしまうコストやリスクを発生させることなく、必要な利益を実現できるように、 エンタープライズ システムを運用することです。

著者について

Chris Vandersluis 氏は、Microsoft 認定パートナーであり、モントリオール (カナダ) に拠点を置く HMS Software の社長兼創業者です。 マギル大学で経済学の学士を取得し、プロジェクト制御システムの自動化に 30 年以上携わってきました。 PMI (プロジェクト マネジメント協会) の古くからの会員であり、MPUG (Microsoft Project Users Group) のモントリオール、トロント、ケベックの支部の設立を支援しました。 氏は、Fortune、Heavy Construction News、Computing Canada Magazine、PMI の PMNetwork などにも寄稿しており、Project Times のレギュラー コラムニストでもあります。 マギル大学では上級プロジェクト管理について教えており、北米および世界中のプロジェクト管理団体の会合でもたびたび登壇しています。 HMS Software は、プロジェクト指向型の時間管理システム TimeControl のベンダーであり、1995 年から Microsoft Project Solution Partner です。

Chris Vandersluis 氏のメールの連絡先は chris.vandersluis@hms.ca です。

Chris Vandersluis 氏の EPM 関連のその他の記事については、HMS 社の EPM ガイダンスのサイト (http://www.epmguidance.com/?page_id=39) を参照してください。

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